2007年 02月 24日
最後の展示会 vol.2 |
突然だが、俺は経理なので、手形を扱う。
前に来た時は、普段手形でしか係わり合いの無い会社がどんな製品や品物を扱っているのか興味があったし、とても勉強になった。だから面白かった。
しかし、会社でその話をした時の反応に、俺は内心驚いたものだ。
職制柄興味が薄いのは当然といえば当然だが、俺が休日を潰して見に行ったことに驚かれて、感心されてしまったのだ。
その頃からだろうか、俺の中の疑問が次第に大きくなり始めたのは。
仕事って、こんなもんなの?という疑問が。
会社のブースに行くつもりはなかった。
なぜ?と問われても、俺にもわからない。わからないことだらけ。
ただ、俺は休みでブラブラ来ている一方で、営業の方々は一生懸命働いていることを思うと、申し訳ない気がしてしまう、ということはある。
でも、というかやはり、気がつくとウチの会社のブースを探している。
やっぱり、せっかく来たのだから、見に行こう。
なぜかウチの会社のブースが見当たらない。
見ると会場が二つに分かれていた。
必死になって探している自分に苦笑い。
もう一つの会場へ向かう。
あった。かなりのコマ数を誇っている。
今までで最大のコマ数らしい。
でも、なぜか覇気がない。ただコマ数をデカくして、金に物を言わせてやっているような印象を受ける。
まぁ、最終日だし、時間が時間だから仕方がないかも知れない。
何人かに挨拶し、話を聞いてみる。
聞く人、聞く人、ダラダラとは言わないが、覇気がない。
それがそのまま迫力の無さにつながっているようだ。
普通なら、しばらくコマの中を見てまわって、社長にも軽く挨拶し、普段会えない方々とも話をする所だ。
でも、その最初の覇気の無さで、そんな気も失ってしまった。
結局、二回りした位で、会場を後にした。
正味30分もいたかどうか。
感動もなく、感慨もなく、終わった。
最後になるかもしれない展示会に、何かを期待していたと遅まきながら気づいたのは、その時だ。
だから、あんなに駅まで走っていたのだ。
ひょっとしたら、俺の中で何かが変わり、もう一度会社で頑張ってみようかと思うかもしれないと。
皆展示会の成功に一致団結して頑張っている姿を見れば、変わるかもしれないと。
そんなこと、あるわけがないのに。
会場を後にして、ふと公園に行ってみようと思い立った。
このままじゃ、あまりにも寂しい。
歩きに歩いて、やっと海の見える所へ出た。
「幕張の浜」と書いてある。しばらく歩くと駐車場の近くに座れる場所があった。
そこで、買っておいたパンを食べ、コーヒーを飲みながら思う。
俺ってバカだなぁ、会場で試食すればいいのに。
風は強いが、海は穏やかだ。
犬を連れた老夫婦が静かに歩き、波打ち際ではカップルが楽しそうにはしゃぐ。
そんな姿を見ながら、海をただボーッと眺めようと、した。
でも、太陽が真正面にあって、眩しくてまともに海面を見られない。
少しずつ沈み行く太陽に、こう言われている気がした。
たそがれている暇なんてないぞ、と。
駅に戻ると、ちょうど直通の電車が来ている。
始発なので座れた。歩きすぎて痛くなった足にちょうどいい。
電車の中で、輪島功一の続きを読む。
輪島のプロ根性の凄さに驚く。
どのジャンルでも、プロと呼ばれる人達は、すごいものだ。
いつかは、その道のプロと呼ばれるようになりたい。
まだ可能性があるうちは。
地元の駅に着き、本屋をブラついている時、携帯が鳴った。
聞けば源泉徴収票が欲しいとのこと。どうやら家を買うつもりらしい。
結婚の準備が進んでいることを知っていたし、何となく察しがついた。
急いでいるようで、申し訳ないが月曜日に頼むとお願いされた。
でもこの人も、ウチの会社にいる間にローンを組み、いずれ去るつもりであることを、俺は知っている。
人の人生とは、一体何なのだろう。
結婚して、家を買い、子供を育てる。
どれ一つ、俺はできていない。
ましてや、仕事ですら、このありさまだ。
俺は一体今まで何をしてきたのか。
できることから、始めないといけない。
始めれば、何かが変わる。
始めなければならないと、改めて確信した、そんな日。
今はただ、ひたすら耐えろ。
柳との闘いで、何度でも立ち上がった輪島のように。
前に来た時は、普段手形でしか係わり合いの無い会社がどんな製品や品物を扱っているのか興味があったし、とても勉強になった。だから面白かった。
しかし、会社でその話をした時の反応に、俺は内心驚いたものだ。
職制柄興味が薄いのは当然といえば当然だが、俺が休日を潰して見に行ったことに驚かれて、感心されてしまったのだ。
その頃からだろうか、俺の中の疑問が次第に大きくなり始めたのは。
仕事って、こんなもんなの?という疑問が。
会社のブースに行くつもりはなかった。
なぜ?と問われても、俺にもわからない。わからないことだらけ。
ただ、俺は休みでブラブラ来ている一方で、営業の方々は一生懸命働いていることを思うと、申し訳ない気がしてしまう、ということはある。
でも、というかやはり、気がつくとウチの会社のブースを探している。
やっぱり、せっかく来たのだから、見に行こう。
なぜかウチの会社のブースが見当たらない。
見ると会場が二つに分かれていた。
必死になって探している自分に苦笑い。
もう一つの会場へ向かう。
あった。かなりのコマ数を誇っている。
今までで最大のコマ数らしい。
でも、なぜか覇気がない。ただコマ数をデカくして、金に物を言わせてやっているような印象を受ける。
まぁ、最終日だし、時間が時間だから仕方がないかも知れない。
何人かに挨拶し、話を聞いてみる。
聞く人、聞く人、ダラダラとは言わないが、覇気がない。
それがそのまま迫力の無さにつながっているようだ。
普通なら、しばらくコマの中を見てまわって、社長にも軽く挨拶し、普段会えない方々とも話をする所だ。
でも、その最初の覇気の無さで、そんな気も失ってしまった。
結局、二回りした位で、会場を後にした。
正味30分もいたかどうか。
感動もなく、感慨もなく、終わった。
最後になるかもしれない展示会に、何かを期待していたと遅まきながら気づいたのは、その時だ。
だから、あんなに駅まで走っていたのだ。
ひょっとしたら、俺の中で何かが変わり、もう一度会社で頑張ってみようかと思うかもしれないと。
皆展示会の成功に一致団結して頑張っている姿を見れば、変わるかもしれないと。
そんなこと、あるわけがないのに。
会場を後にして、ふと公園に行ってみようと思い立った。
このままじゃ、あまりにも寂しい。
歩きに歩いて、やっと海の見える所へ出た。
「幕張の浜」と書いてある。しばらく歩くと駐車場の近くに座れる場所があった。
そこで、買っておいたパンを食べ、コーヒーを飲みながら思う。
俺ってバカだなぁ、会場で試食すればいいのに。
風は強いが、海は穏やかだ。
犬を連れた老夫婦が静かに歩き、波打ち際ではカップルが楽しそうにはしゃぐ。
そんな姿を見ながら、海をただボーッと眺めようと、した。
でも、太陽が真正面にあって、眩しくてまともに海面を見られない。
少しずつ沈み行く太陽に、こう言われている気がした。
たそがれている暇なんてないぞ、と。
駅に戻ると、ちょうど直通の電車が来ている。
始発なので座れた。歩きすぎて痛くなった足にちょうどいい。
電車の中で、輪島功一の続きを読む。
輪島のプロ根性の凄さに驚く。
どのジャンルでも、プロと呼ばれる人達は、すごいものだ。
いつかは、その道のプロと呼ばれるようになりたい。
まだ可能性があるうちは。
地元の駅に着き、本屋をブラついている時、携帯が鳴った。
聞けば源泉徴収票が欲しいとのこと。どうやら家を買うつもりらしい。
結婚の準備が進んでいることを知っていたし、何となく察しがついた。
急いでいるようで、申し訳ないが月曜日に頼むとお願いされた。
でもこの人も、ウチの会社にいる間にローンを組み、いずれ去るつもりであることを、俺は知っている。
人の人生とは、一体何なのだろう。
結婚して、家を買い、子供を育てる。
どれ一つ、俺はできていない。
ましてや、仕事ですら、このありさまだ。
俺は一体今まで何をしてきたのか。
できることから、始めないといけない。
始めれば、何かが変わる。
始めなければならないと、改めて確信した、そんな日。
今はただ、ひたすら耐えろ。
柳との闘いで、何度でも立ち上がった輪島のように。
by k-open-copen117
| 2007-02-24 22:01
| まじな話